*:.。.:*゜ぁいとーの日記 ゜*:.。.:*

ある時点での自分の記録たちとその他いろいろ

Web漫画のこと(10作紹介・長文)

そこそこ漫画が好きだ。WJとか実は全然読んでいないのだけど、それでも「そこそこ好き」と言ってしまうくらいには好きなのである。水上悟志とかがツボだから目立たない、というだけのことなのだ。もっとも、なんだかんだ一番面白いのはドラえもんだと思っている。藤子F不二雄はやはり王なのである。ちなみに、連載中で一番の推しはビッグガンガン連載の音楽マンガ、『シオリエクスペリエンス』である。巻を重ねるごとにアツくなっている気がするので、11巻も出てしまっているがぜひ読んでみてほしい。アニメ化してほしいけれど、曲をちゃんと作るとなると相当大変そうなので厳しいかな…?

さて、連載の、紙の漫画も絞って買っているけれど、高1末くらいから受験期も、今に至るまで、いわゆるWeb漫画を読んでいる。ジャンプラもマンガワンもニコ静も見ているけれど、やはり僕にとって特筆すべきは新都社(にいとしゃ)だ。間違いなく、どんな漫画アプリやらサイトよりも玉石混交だし、どっちかっていうと石が多い方じゃないかと思う。最近は漫画を発表する媒体が増えたのもあり、ますます影が薄くなっている気もする。そのうえ連載義務はないので、作者さんが忙しかったりやる気なくなったら未完で終わることもある。しかしそれでも新都社は、『ワンパンマン』『ヒトクイ』『ケンガンアシュラ』『送球ボーイズ』などなど商業化された作品を生んでいるし、クール教信者(『ピーチボーイリバーサイド』)や天原(『平穏世代の韋駄天達』)といった、商業でも自分で絵を描いちゃう漫画家も輩出している、偉大な漫画発表サイトなのである。実際、今ある無料漫画アプリとかそういうものの先駆者だと言っても過言ではないはずだ。弱みがあるとすれば、2ちゃんねる発祥ということもあってか、少女漫画系の層の薄さであろうか。

新都社「ランキング」のページを見てみると、『ワンパンマン』とか商業化した作品はけっこう消えてしまっているのだが、上位に来るのは粒ぞろいの漫画たちである。『侠』とか『K』(完結)とか『ピーチボーイ』とか『韋駄天』とか『バクバクバク』(完結)とか『刀遊記』とか『潜心』(完結)とか、小説でも『オナマス』(今読みたければニコ静になります)の伊瀬カツラ氏の『ラストメンヘラー』(完結)とか、もういっぱい面白いのが落ちている。全部無料なのである。これを活用しない手はないだろう。しかしこのへんのガチ上位のやつはこちらが紹介する意味もないくらいに面白いので、話したって仕方がない。ということでこの記事では、若干マイナーめな作品を紹介していくつもりである。とはいえディープすぎてもアレなので個人公開のどメジャーなやつから紹介することにしよう。どうもリンクフリーかどうかわからないので、ダメそうだったらその時は修正します。

1.『金魚王国の崩壊』

これも語るに落ちる、というレベルの有名作品であるが、ちょっとしたギャグと、ところどころ重い展開が過剰気味のデフォルメにマッチして非常に面白い。作者の模造クリスタルは『ビーンク&ロサ』や『スペクトラルウィザード』など単行本も出しており、現在は『黒き淀みのヘドロさん』を自サイトにて連載中である(ゆえに金魚の更新は止まっている)。併せて読んでみてもいいだろう。

2.『虫籠のカガステル』

第一文、同上。リュウコミックスにて作画を修正し販売、フランスでも売られることとなった有名作である。リンクは完結済み、公開中の修正前Ver。人が巨大な虫になってしまう奇病「カガステル」が蔓延する世界で、虫の駆除屋の少年・キドウとヒロインのイリとの物語が描かれている。喋れば喋るほどつまらなさそうに思われる気がするのでこれ以上は何も言うまい。

3.『RBB(赤黒き蒼)』

上二つがあまりにも有名(Web漫画界では)なのに比べればこれはマイナー作品と言ってもいいものだ。差別を受ける『首刈り』の男と、学者の卵である女性・マリーの関係を描いたちょい長めの完結作。軽いファンタジー世界を舞台にしつつ、差別と恋愛と死について正面から扱った傑作だと思う。あまり人を選ばないタイプの作品でもある。ただ、作者さんは残念なことにすでに亡くなっていらっしゃる。いつ読めなくなるかもわからないので、一刻も早く読んでみてほしい。何かが起こって書籍化したら絶対に買ってしまうと思う。

 4.『かなしいストルゲ』

ようやく新都社作品。今回紹介する中では、次と同様に人を選ぶ怪作だと思う。ざっくりと言うと初め数話はあまりにも謎が多くて困惑するかもしれないが、中盤以降の展開は怒涛、奇怪、そして惹き込まれる。主要キャラの名前がジョン・アラン・リーのラブスタイル類型論に由来してたり、扉絵が有名絵画のオマージュだったりとちょっとしたことまで面白い。うましゃく氏の漫画だと、『鳥クロロエチレン』が一番長く続いている。終わりかけの今若干「??」の感もあるがわりかし面白い。どの作品もデフォルメのかわいらしさが特徴的である。

5.『地球外生命体』

続いても問題作ポジの漫画。これに関しては一切のあらすじ無しで読んでみてほしい。画力はこれぞWeb漫画という感じで、拙さを感じさせる(断っておくと、僕はもう信じられないくらい絵がヘタクソで、とりわけ創作となると絶望的である)けれども、不思議な引力とえぐい衝撃度で殴ってくるタイプの作品である。初めのリンクの方を読み終えたら、こちらを読もう。元11話あたりから一気に読んだのだが、連載が終わったと思ったら突然前者が後者に置き換わっている(正確には中間くらいの状態を挟んでいた)のだから、その時の衝撃は計り知れない。完結済みの今同じ気持ちを味わってもらうことはできないが、きっと面白くはあるはず。ただ、極端に胸の大きい描写なり過激な部分も多いので、無理な人は読まないでおいてほしい(それでも紹介したのはその辺の無神経が与える不快感と作品の評価は別だと思っているからです)。

6.『皇国坂クライマーズ』

こんどはちょっと大人しい漫画。日露戦争を、登場人物を美少女に置き換えてフィクションっぽくしつつ、作者がいろいろと調べたことをまとめたうえで漫画にしている(ただ、作者は歴史の専門家とかではない)。伊地知は無能とか『坂の上の雲』でしみついてしまった部分を再評価しようとしていたりするのも面白い。かなり分量はあるけれど、お手すきの際に読んでほしい作品。史実が元になっているだけあって、やはり楽しみやすいものがある。

7.『変態という名の紳士』

商業で『偏愛カフェ』を連載中の有咲めいか氏が作者。この作品でも変態チックな性的嗜好と恋愛について描いている。この中では少女漫画っぽい方。それぞれのキャラに背負うものがちゃんとあったりして、よくできていると思う。あんまり書いていないけどおすすめ度低いとかではなく、しっかり面白い。

 8.『うわさのラビ子さん!!!』

絵柄は美麗だが、がっつりギャグ漫画。「お嬢様学校ギャグ」という感じである。あえて狙ってか、80年代テイストなのもポイント高し。絵も話もハイレベルで、これから先も期待したい。ここ2か月ほど更新がないのが心配だが、新都社ではよくあること。焦らず続きを待っている今である。

9.『ハイブリッド』

 突然能力者「ハイブリッダー」として目覚めさせられた兄妹が陰謀渦巻く戦いに巻き込まれる。この中では一番王道少年漫画タイプである。足掛け8年でこの話数で、作者自身も遅筆を認めており、そこは惜しいところ。その分クオリティは高いけど。若干古臭いような表現もポイント。

10.『弱国のジアンサー』

 大国に挟まれた小国・矢夥国の軍副隊長・榎山太陽が主人公。森に生息する怪物・非(あらず)や矢夥国のリーサルウェポン「血製武器」、謎多き戦闘ヒロイン、イケメンポジの親友、敵国のヤンデレ裏ヒロインなどてんこ盛りの作品。男女ともに読みやすい、これから期待の漫画である。

 『アイスメイジは凍らせる。』『ハグルマドリーマ』(近日移籍するそう…)『竹やんと坂本くん』とかもすごくワクワクするのだけれど、もうしんどいのでナンバリングはせず。初めの3つは別として、クセが強すぎることが多い新都社作品の中でも、まだとっつきやすいものを選んだつもりである。こういうのを読んで暇をつぶすのが僕の趣味の一つである。しかし読書感想文的なサムシングを書いたのはいつぶりだろうか。あらすじに突っ込めないところからして読書感想文とは種を異にするけれど、少し懐かしい気持ちにもなった。それに、好きな何かを紹介するのはやはり面白い。今度は自分の部屋のリアル本棚でも見てみようかな、というところだ。ではまた。